私は女の子で、1人の男の子がいた。
彼は大学のサークルの同期で私に好意を寄せてくれていたみたいだ。
彼は私に誕生日プレゼントを用意していて、2人きりで出掛けた折に私に告白をした。
私は告白されたことはおろか好意を寄せられたことも無いものだからまごついてなんにも言わなかった。
そしたら彼はずっと立ち上がり、優しく笑って「気にしないでね」と言ったので酷く心が傷んだ。
それからしばらく経って、私と彼は疎遠になりつつあった。
それが嫌で嫌でしょうがなくて、彼にメールを送った。
この前みたいに優しく「どうしたの?」と返事が返ってきた。
彼のメールは姿が見えなくても彼の動きや喋り方が目の裏に浮かんでくるようだった。
私は1枚の写真を送った。
「あの時は好きって言ってもらえて嬉しかったのに私も愛してるって言えなくてごめんなさい。
もう誕生日プレゼント捨てちゃったかな?」
そう書いている白く曇った窓だった。
彼は大喜びして直ぐに私たちは付き合うことになった。彼は本当に私のことが大好きで私の一挙手一投足を愛おしそうに見ていた。
優しい彼にはまだ幼い妹が2人いて、豪快な性格の母親がいた。妹達は私に懐いてくれ、母親は私に良くしてくれた。
からかうように馴れ初めを聞く妹たちを嗜めて私を気遣って握ってくれた手はざらざらしていた。
彼は皮膚の疾患で常に肌が乾燥してしまい、ポロポロと剥がれ落ちた皮膚が落ちてしまうのだ。
彼はその事に引け目を感じていて、私に触れようとする時一瞬躊躇いが見えた。それをしっかりと掴み、きつく彼の手を握り、頬を寄せ、くっついて普通の恋人よりも触れ合うようにした。
彼の劣等感はなんの意味もなく、彼に向けられる嘲笑の声にはなんの価値もないことを他ならない彼に知って欲しかった。
私は彼を愛していたし彼も私を愛していた。確実に。
私は有名人の女性に相談をした。
「私には恋人がいるの、そして私にとって初めての恋人なの。」
そういうと彼女は大はしゃぎして色々とアドバイスをしてくれた。
私は内気で大人しい純朴な少女のように頬を赤くしうなづいた。
その一方で息苦しかった。
彼の擦れて落ちた皮膚は私の喉に詰まり、吐き出してしまいそうだった。
こんなに幸せなのに息苦しいなんて贅沢だと思った。
優しい恋人がいて、有名人と話せるくらいの仕事に就き、なんの不満があるのだろうか。
苦しくなって咳き込んだ。目が覚めた。
そういう夢の話