ささくれた人のそばで

足踏みをしている人がいる、環境の変化に疲れている人だ。

こめかみを揉む人がいる、他人との軋轢に頭を痛めている人だ。

私ができることなんかひとつだってない。

私はただ笑って、喋って、歌い、能天気に過ごすしかないのだ。そうやって他人に人生の簡単さを見せるしかないのだ。

如何に私が軽やかになだらかに生きているのかを見せるのだ。そうやってそこから何かを汲み取ってもらうしかできないのだ。

 

同居人はいつも嘆いている。

例えば共同トイレの使い方、お金、食、文化、人間関係。

嘆いて早く帰りたがっている。

それなのに上手に生きている。

 

私は全くこの暮らしに不満がなく、ご飯を食べては眠り、生きているのに上手では無い。

失敗や忘れ物、うっかり、恥ずかしい空回り。そんなものが私の机の上でバラバラに散らかっている。