お化粧をしたい。そして可愛いと言われたい。
ベッタリと白粉をはたいて、目元に大量の流行りを載せて、それからキラキラのラメで何も見えなくしたい。
お化粧は常に他人の目線によって作られている。自己満足でやってるなんて嘘だ。
自己満足ならばどうして顔をピンクや青にしてしまわないのか。
ざらついた肌、キメの荒い頬、毛の生えた口元、皮のめくれた唇。これが私の顔だ。
小さな目が鏡から無力そうに恨めしそうに見つめ返している。ストレスでさらに太った下腹が姿勢を正す度に私に存在を知らしめようとする。
脱色を繰り返した髪の毛は抜けやすく、色は汚く傷んでいる。
スマホばかり触っているせいで悪くなった目に眼鏡をかけて脂っぽい鼻を触る。
グロテスクな毛穴に皮脂が詰まりぽつぽつとニキビが赤みを主張する。
おでこはぷつぷつと毛穴が広がっているせいで男のようだ。眉毛は祖父譲りで毛が太く形は変だ。
我ながら変な顔。
化粧したらびっくりするほど変わるようなら良いのに。
どんなに化粧しても私の顔は変わらない。人間で居られるように化粧するならばただの白粉をはたいた私である。
私が背筋をのばせるようにしていられるのは愛なのだろうか。